ニュートン流体と非ニュートン流体

【はじめに】

今日もあすみ技研レオメーターコラムをご覧いただきありがとうございます。

今回はコラム「単語解説:粘度とは」の続きとなります。まだお読みでない方はぜひ読んでみてください。

【ニュートン流体と非ニュートン流体】

コラム「単語解説:粘度とは」で、

せん断応力とせん断速度が比例する、つまり速くずらすためにはそれに比例して大きな力が必要になるような流体のことをニュートン流体といい、この比例関係に当てはまらない流体のことを非ニュートン流体といいます。

と書きました。今回はこのニュートン流体と非ニュートン流体について解説していきます。

ニュートン流体

早速ですが、ニュートン流体を縦軸をせん断応力、横軸を速度勾配にしたグラフに書いてみたいと思います。

 

ニュートン流体とはせん断応力と速度勾配が比例関係にあるので図1のように直線で表せます。

多くの流体はニュートン流体で、例えば水や油、はちみつなどはニュートン流体です。

ニュートン流体のグラフ
図1.ニュートン流体

非ニュートン流体

非ニュートン流体は大きく次の3つに分けられます。

  1. ビンガム流体
  2. 擬塑性流体
  3. ダイラタント流体

1.ビンガム流体

パンにバターを塗る場面を想像してみてください。軽く塗ろうとしてもバターは動きません。しかし、ある一定以上の力が加わったときバターはスッと塗れるようになります。

 

このように一定の力を加えるまでは流動しませんが、ある一定以上の力が加わり流動し始めると、その後はニュートン流体のような性質をもつ流体をビンガム流体といいます。

ビンガム流体のグラフ
図2.ビンガム流体

2.擬塑性流体

擬塑性流体はビンガム流体と少し似ていて、与える力を大きくしていくとそのせん断応力に対して、だんだんと速度勾配が小さくなってくる、つまり柔らかくなるような性質を持つ流体のことをいいます。ビンガム流体との違いは、ビンガム流体がある一定の力を加えるまで流動しないのに対し、擬塑性流体はだんだんと流動しやすくなってくるという点です。

擬塑性流体にはマヨネーズや歯磨き粉などが例として挙げられます。

擬塑性流体のグラフ
図3.擬塑性流体

3.ダイラタント流体

最後にダイラタント流体ですが、擬塑性流体と逆の性質を持ちます。加える力が小さいときは簡単に流動するのですが、逆に加える力を大きくすると抵抗力が大きくなり流動しづらくなります。

ダイラタント流体は普段あまり接することの流体ですが、流砂や片栗粉水溶液などが例として挙げられます。

ダイラタント流体のグラフ
図4.ダイラタント流体

ここまでで出てきたグラフをまとめておきますので、ぜひ見比べてみてください。

流体のグラフまとめ
図5.様々な流体

【最後に】

流体の分類については以上になります。ビンガム流体や擬塑性流体については想像がしやすいかと思いますが、ダイラタント流体は想像しづらいかもしれません。ダイラタント流体については動画で探して観ていただいたり、片栗粉と水を2:1ぐらいで混ぜていただければ簡単にできますのでぜひ作って触れてみてください。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

 

(M.H)